2月の花
ウメ(古名 うめ)
春去れば 先づ咲く宿の 梅の花
ひとり見つつや 春日暮さむ (山上憶良 万葉集巻5-818)
巨勢山(こせやま)の つらつら椿(つばき) つらつらに
見つつ思(しの)はな 巨勢の春野を (坂門人足 万葉集巻1-54)
シキミ(古名 しきみ)
奥山の しきみが花の 名のごとや
しくしく君に 恋ひわたりなむ (大原今城 万葉集巻20-4476)
常緑の小高木で、モクレン科の植物です。香気があり有毒なので、死臭を消すとか、墓を鳥獣から守るといわれ、墓地に植えたり墓前や仏前に供えたりします。神前の供花のサカキと対比するものとされている。葉を乾燥させて粉末にし、抹香や線香の材料にします。シキミの名は、有毒なので悪しき実の意味で、あが省略されたものといわれます。また、実が重(しげ)くつくから重実の意味からともいわれます。
ノキシノブ(古名 しだくさ)
わが屋戸(やど)の 軒のしだ草 生ひたれど
恋忘草 見れど生ひなく (柿本人麿歌集 万葉集巻11-2475)
常緑性のシダ植物で、樹皮上や岩の上、家の屋根などに着生します。種子植物の種子に相当する胞子の集まったもの(胞子のう群)が、葉の裏に多数つきます。屋根の軒などにもよく生え、シノブに似ているからノキシノブと名づけられています。葉をすりつぶして切り傷に塗ると止血の効果があるといわれています。
タ ケ(古名 たけ)
倭(やまと)には 聞えゆかぬか 大我野(おおがの)の
竹葉(たかは)刈り敷き いほりせりとは (作者不詳 万葉集巻9―1677)
マダケ、モウソウチクなどイネ科のタケの総称という説が一般的です。マダケは、中国原産で日本には古くに渡来し、現在は東北以北の寒地を除いた日本各地に見られます。茎は中空で直径約3〜13cmで用材として利用されます。モウソウチクは、中国原産で日本各地に見られます。茎は中空で肉は厚く直径は約20cmにもなり、タケ類の中では最大でタケノコは食用にされています。